はじめの一歩セミナー

はじめの一歩セミナー体験レポート

住宅資金計画に悩む、家探しビギナーのライターMが、はじめの一歩セミナーを初体験。
期待と不安が入り混じるなか参加したセミナーの様子をレポート。

家を買うのはまだ早い?わが家の家計事情

最初は、妻が乗り気ではなかった。まだ時期尚早だと言うのだ。「同僚が家を買ったよ」という話をしても、「へえ..」とうわの空。「ここの家賃、高くないか」と振っても、「私はこの家が気に入っているのよ」と耳を貸さない。彼女の実家は自営業の飲食店で、両親はコツコツとお金を貯め無借金で一戸建てを購入した。つまり堅実で財布のヒモのカタい家系の娘なのだ。

旦那の稼ぎが悪いと言われれば、それまでである。雀の涙ほどの貯蓄では、マイホームなど夢のまた夢。だが、同僚にしたってそんな中で夢を実現したのだ。あきらめなければ、きっと道は開けるのだ!(たぶん)。

「繰り上げ返済って分かる?」ブンブン(首を振る音)。「じゃあ、変動金利と固定金利は?」ブンブン。「自己資金は200ぐらい用意できる?」「……」仏像のように押し黙る私に、「資金計画をちゃんとやってくれるところがいいよ」と突き放すような同僚のアドバイス。そして紹介してもらったのが、〈ホームタウンよこはま〉だった。

重い腰を上げて、いざセミナーへ出発!

降り立ったのはJR東戸塚。 降り立ったのはJR東戸塚駅。子どもがまだ小さいし、住宅セミナーに参加するのはちょっと……と渋る妻を、まあ話を聞くだけだから、それになかなか席を取れないんだぜ、と説得して、重い腰を上げさせたのだ。

ホームページに掲載されていた地図をプリントしたものを片手に、店舗へ向かう。 ホームページに掲載されていた地図をプリントしたものを片手に、店舗へ向かう。駅東口と、専門店街の連なるオーロラシティを結ぶペデストリアンデッキで高い声を上げ駆け出した息子(5歳)を追いかける途中、右手に大きな看板が見えた。

駅からは歩いて2~3分で目的地に辿り着いた。 駅からは歩いて2~3分で目的地に辿り着いた。道を挟んでTSUTAYAの向かい、フラワーショップの隣に明るいオレンジ色の看板が印象的な その店はあった。一見して、入りにくそうな地元の不動産屋とはちがう、お洒落なカフェのようなフンイキ。どうやらこの店、ただの仲介会社ではなさそうだ。ガラス面には所狭しと文字が踊る。どうやら会社のポリシーがアツく語られているらしい。じっくりと読んでいる時間はなかったので、店の中へ足を踏み入れた。

ガラス張りの店内は明るく、すでに多くの家族連れで賑わっていた。 ガラス張りの店内は明るく、すでに多くの家族連れで賑わっていた。打ち合わせだろうか、テーブルで各担当者らしき人と談笑している。あまりこういう所に入った経験はないが、自分が想像していた不動産屋のイメージとはだいぶかけ離れていた。

受付の女性にセミナー参加者であることを伝え「子どもがいるんで……」とおずおずと切り出すと、ベビーシッターのいるキッズスペースに案内してくれた。少々元気がよすぎるもので、迷惑をかけるのではと心配していたが、子どもをあやすプロがいるなら安心だ。息子は最初離れるのを嫌がったが、ベビーシッターが新幹線のオモチャを見せるとすぐにそれに飛びついた。

ベビーシッターが新幹線のオモチャを見せるとすぐにそれに飛びついた。 受付の女性にセミナー参加者であることを伝え

セミナー講師登場!秘密文書にワクワク。

セミナー講師登場!秘密文書にワクワク。 ピアノの旋律が薄く流れるセミナールームに通され、席につく。前方壁面には大きなスクリーン。場内を見渡すと席はすでに半分以上埋まっており、夫婦で訪れた30歳前後の参加者が多いように思う。皆どこか固い面持ちで、そわそわと落ち着かない様子である。そりゃあそうだろう、夫婦でセミナーに参加するなんてことはそうあるもんじゃないし、家なんて宝くじでも当たらなければフツー一生に一度の買い物。失敗が許されないとあれば、皆真剣だ。

長机には『住宅の購入を判断するための知識とデータ』という見出しが躍るA4サイズの資料が置かれてあった。 長机には『住宅の購入を判断するための知識とデータ』という見出しが躍るA4サイズの資料が置かれてあった。週刊誌ほどの厚みがあり、パラパラとめくってみると過去から現在までの住宅ローン金利や土地価格の推移をあらわすグラフや、住宅事情に関する過去の新聞記事などがスクラップされていた。なぜかワクワクする。ここでしか手に入らない情報がぎゅっと詰まった、秘密文書のようなかんじだ。

「今回、『はじめの一歩セミナー』を担当させていただきます、代表の黒須です」坊主頭の講師が挨拶をした。彼の肩書きは1級ファイナンシャルプランナー。聞くところによるとお金の専門家らしい。資料には39歳とあり、意外と若いことに驚く。彼は我々を見回して、今日はめずらしく空いているので、リラックスしてまいりましょう、と穏やかな笑みを浮かべた。ふっと肩の力が抜ける。知らず知らずのうち緊張していたようだ。講師とはいうものの大上段な物言いをせず、好感が持てる。

やがて前方のスクリーンに手元の資料と同じものが映し出され、セミナーがスタートした。

誰も教えてくれない住まいとお金の話。

『はじめの一歩~』と銘打たれているだけあって、内容は初心者向けである。

『はじめの一歩~』と銘打たれているだけあって、内容は初心者向けである。まずは、予算の上限を決めること。物件を見るときのモノサシをしっかりと定めること。銀行別ローンが通りやすい条件。近年の市場状況について、ベストな買い時についてetc……。詳細はネタバレになるので触れないが、家探しビギナーの私たち夫婦にも、非常に分かりやすい内容だった。モヤモヤとしていたこと、誰も教えてくれなかったことが次々と明快になっていく。

最初はどこか消極的に見えたほかの参加者たちも、話が進むにつれ大きく頷くようになっていた。最後の質問コーナーでは、講師がたじろぐような鋭い質問が飛び交い、場内は熱気あふれる雰囲気になっていた。誌面では語れないような㊙トークもあり、非常に充実した内容であった。

質問が思いのほか多かったので、予定の90分を少しオーバーしたが、得るものも多かった。今まで不安のほうが大きかった家探しに、不思議と自信が湧いてきたというか。なるほど、不安というのは、先を見通すことができない暗闇で大きく膨れあがるもので「今、何をすべきか」が分かればおのずと解消されるものなのだ。

店を出ようとすると、「ちょっと待って」と、妻が私の袖を引いた。店内の物件展示スペースで立ち止まり『未公開物件』と記された棚から、南欧風の外観が描かれた住まいの図面を取り出すと「実はね、前からこういう家もいいかな、って思っていたのよ!」と言って笑った。

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